「アプリを作ろう!」と考えていたら…

「アプリを作ろう!」と思ったとき、あなたはどんな手順で進めますか。
アプリ開発を取り巻く環境は、この数年で大きく変わりました。

私が会社員だったころ、まだGPTが登場する前は、本やインターネットで集めた知識を自分で組み立てていくのが基本でした。インターネット以前に比べれば情報は格段に得やすくなっていましたが、最後は経験と技術者のセンスで“組み合わせ方”を見つけていく必要がありました。

「GPT」という言葉を初めて目にしたのは2019年頃。
当時はAIへの関心も薄く、「ふーん」くらいの距離感で、まさか自分が本格的に使うようになるとは考えていませんでした。アプリを作るときは、とにかくネットで情報の断片を探し、それらを組み合わせ続けていたのです。

ChatGPT/各種Copilotの衝撃

2022年11月にChatGPTが公開されました。
自然な対話でそれらしい答えが返ってくる──あの体験は鮮烈でした。登場当初は、いまのように画像生成や高度な数学・プログラミングまでこなせるわけではありませんでしたが、検索プラグインが使えるようになると、Google検索よりも意図を汲んだ情報提示が可能になり、一気に実用度が増しました。
一方で、回答の根拠が見えにくく信頼性に不安が残る面もありました。BingのAI検索が出典を示したのに続き、ChatGPTでも根拠提示が進化していきます。

その後、各社のCopilotが登場し、とりわけGitHub Copilotとの連携で、アプリ開発は一変します。コード上に適切なコメントを書けば、対応するロジックを生成してくれる。ChatGPTに直接コード生成を「指示」すれば、実行結果まで示してくれる場合もある。
これまで開発者が行ってきた「技術要素の組み合わせ」や「ロジック構築」の多くを、AIが肩代わりし始めたのです。まさに衝撃でした。

GitHub Copilotの進化

GitHub Copilotは2021年に提供開始。VS CodeなどのIDEで、言語横断の強力な補完が働くことで、「あれ?」と悩んで検索に飛ぶ回数は格段に減りました。
のちにChat連携が進み、コメントに沿って実行コードを生成したり、差分を提示して「Keep/Undo」で反映できるようになりました。必要な設定ファイルまで提案・生成してくれるのは、もはや“相棒”の域です。

適切にAIを使えれば、アプリ開発は「特別な技術」ではなくなりつつあります。

さて、これから何をしよう!

では、いま求められる開発者の力は何でしょうか。
従来は、断片的な技術を組み合わせて目的の機能に仕上げる力が中心でした。これからは、その大半をAIが補完します。代わりに重要になるのは、目的を正しくAIに伝える力(プロンプト設計)AIを適切にコントロールする力(ワークフロー設計)、**AIの出力を正しく評価する力(検証と根拠確認)**です。

クラウドのChatGPTだけでなく、ローカルで動くLLM(大規模言語モデル)が当たり前になる時代。単なる機能の寄せ集めではなく、**AIによる“知的な制御”**と、**絶対的な制約(安全・倫理・規約・法令)**を組み合わせたアプリ/システム設計が鍵になります。
“絶対的制約”は、AIの判断に伴う曖昧さから生じるリスクを回避するために、AIの外側で担保するべき領域です。

この両立を図るために、ローカルLLMを活用したアプリの形を、これから模索していきます。