「独り言」:仕事の効率化って何…
人はどこへ行ってしまったのか
日本では、人口減少に伴い、人手不足が深刻な問題となっています。求人を出しても人が集まらない状況が続いており、これは当然といえば当然のことです。人口が減少すれば就労人口も減少するため、人手不足になるのは避けられません。
しかし、社会は人が生み出す価値で成り立っていると考えると、人口が減れば社会に必要な価値の量も減り、ある程度均衡するのではないかと単純に思ってしまいます。
ところが、どうもそう単純な話ではないようです。先日、テレビを見ていると、「○○メーカー」といっても、実際に○○を作っている人はほとんどおらず、下請けや孫請け、協力会社が仕事をしているという現状が紹介されていました。さらに、別の番組では、脱炭素のための制度の知識をリスキリングで学び、それを活かしてビジネスを生み出している様子も伝えられていました。
確かに、社会にはさまざまな仕組みや制度があり、それに対応する人材が必要なのは理解できます。しかし、その結果、実際の生産やサービス提供に携わる労働力が減少しているのではないかと心配になります。
仕事の効率を考えよう
会社で働いていると、「仕事の効率を上げよう」「生産性アップ!」といったスローガンをよく耳にします。効率を上げて多くのものを生産し、売上や利益を増やすことは企業活動の基本です。。
しかし、仕事の効率とは、ただ休みなく働くことなのでしょうか?
様々な仕事があるため一概には言えませんが、私はソフトウェア開発に40年携わってきた経験から、少し考えてみたいと思います。。
1年分の稼ぎを半年で達成するという話
私が初めて就職した会社でのOJT研修中、ある先輩が「1年分の稼ぎを半年で稼ぐ」と言っていました。当時の私は「1年働かないの?」と不思議に思いましたが、実際の業務に移ると、それが現実とは異なることがわかりました。
当時は労働規制も今ほど厳しくなく、時間外勤務も多かったため、1年中仕事をしているような感覚でした。それでも、OJTを行っていた部署では、半年間の忙しさの中で1年分を稼ぎ出し、それ以外の時間はリラックスしているようにも見えました。今では考えられませんが、夜中にお酒を飲みながらコードを書いていたこともあります(もちろん、毎日ではありませんが)。
お酒を飲みながらコードを書くことは効率的か?
仕事のスタイルは人それぞれです。真面目に机に向かうことが全てではありません。一時的には、通勤や食事、睡眠時間も惜しんで作業に没頭することが最も効率的だと感じることもあります。。
そのため、自分が最も成果を出せる環境を整え、集中することが重要だと思います。それをどれだけ社会や組織が許容できるかが鍵となるでしょう。
効率化とは何か…
ソフトウェア開発の効率化も、昔と今では大きく異なります。かつては、どれだけの知識を持っているかが重要でした。「知っている」と「知らない」の違いは大きく、他人や書籍、インターネットなどからの知識を活用することが求められました。
しかし、現在ではCopilotやLLM(大規模言語モデル)の登場により、「自分の頭で課題に適用させる」作業もAIが手伝ってくれるようになりました。AIが正解を提供するとは限らないため、その答えを見極める力も必要です。
効率化とは、最新のツールや技術を取り入れる姿勢があるかどうかにかかっていると感じています。
効率化の先にある課題
ソフトウェア開発において、開発したプロダクトの価格設定に悩むことがあります。これまでは、開発に要した作業時間を基に算出していましたが、これは自分の時間をお金で売っているに過ぎません。今後は、プロダクトの価値で価格を設定したいと考えていますが、その評価は難しいものです。
発注者が提示された価格を納得するためには、具体的な積算根拠が必要です。しかし、CopilotやLLMを多用することで作業時間が短縮されると、積算根拠の工数が下がるという皮肉な結果も考えられます。
これからは、見積金額を「工数費用+設備使用料+技術料」で算出するスタイルを目指したいと思います。短納期を実現するための技術料として、CopilotやLLMの活用に基づいた新しい見積スタイルが定着することを願っています。